居抜き物件は、一般的なテナントの賃貸や購入などとは違って、以前のテナントが使っていた設備や内装をそのままの状態にして、新たに賃貸や購入を行うというものですので、かなり特殊なケースと考えなければなりません。そのため、良い居抜き物件を獲得して、すみやかに開業できるようにするためには、いくつか知っておいたほうがよいポイントというものがあります。逆に、表面だけは優良物件に見えたとしても、こうしたポイントを知らなければ、実際に居抜き物件での営業をはじめてから、こんなはずではなかったという後悔の念が沸いてくることもあるものです。いったん賃貸や購入を決めてしまってからでは、後の処理はなかなか大変ですので、前もってしっかりと確認をしておく必要があります。
以前のテナントの評判や撤退理由を知る
居抜き物件が世の中に存在するということは、とりもなおさず、以前にそこで営業していたテナントが、なんらかの事情で撤退を余儀なくされたということを示しています。それがたとえば食堂やレストランといったものであった場合、以前のテナントがもっていた調理設備や什器、内装、家具などをそのまま引き継ぐことができるというのは、たいへん魅力的ではあります。しかし、そのまま引き継いだがために、やはり以前のテナントと同様に撤退の憂き目にあうことも考えなければならないのです。たとえば、レストランの形態や内装が顧客のターゲット層にマッチしておらず、入りにくい雰囲気を与えていたため、経営がうまくいかなかったとすれば、そのままでは問題がありますので、大規模な改装が必要になるかもしれないのです。
物件そのもの以外の費用負担をはっきりさせる
居抜き物件の不動産としての価格は、取引をするにあたって当然気になるものですが、それ以外にも、その居抜き物件を購入することによって、さまざまな費用負担が別途発生することがありますので、あらかじめ正確な見積もりを立てておいたほうがよいといえます。前出のように、以前のテナントの内装に問題があって改修が必要というのであれば、リフォーム料を予算に上乗せしておかなければなりません。内装にとどまらず、上下水道などの配管まで工事が及ぶのであれば、費用が高すぎて、かえって居抜き物件のメリットがなくなってしまうこともあります。また、内部の設備に関しても、実はリース契約であって、別途リース料を支払う必要があるといったケースもありえますので、権利関係の下調べも重要であるといえます。